大町民話の里づくり もんぺの会

平の民話

青木湖の主

離れて暮らす仔牛を思い、青木湖を泳いで渡ろうとした母牛。湖の主は赤牛だと伝える、大町市平の民話を紹介します。

物語の土地:大町市平・青木

青木湖の主の紙粘土人形
青木湖の主の紙粘土人形。松本武子・峯村徳子・仁科光子・新芝久子作。写真撮影:丸山隆士。

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青木湖は、仁科三湖の一番北に位置し、青黒く湛えた水は、三湖中最も深いといわれています。湖水の西の狭い岸辺に、千国街道に沿って軒を寄せ合っている集落が、昔の青木村です。

そこの、あるお百姓の家で飼っている赤牛が、親に似た赤い毛色の可愛いきれいな仔牛を生みました。それを、湖の向こうの東岸の加蔵村のお百姓が是非にと所望してもらっていきました。

仔牛は、親に別れた悲しさに、毎日昼も夜も岸辺で泣いていました。母牛と暮らしていた家が手に取るように見えます。静かな夜には殊に、仔牛の泣き声が湖面を渡って母牛の耳に切なく聞こえてきます。

青木の親牛は、仔牛愛しさに堪えきれず、ある月の明るい夜、湖に飛び込み、向こう岸目がけて泳ぎ出しました。けれども、湖水の半ば過ぎるあたりで力尽き、水中深く沈んでしまいました。

それから、青木湖の主は赤牛だといわれています。

このお話の出典

『民話が息づく紙粘土人形の世界』(大町民話の里づくり もんぺの会、2022年3月31日発行)より。民話解説:相澤亮平。公開中の写真集に掲載された解説を、そのまま紹介しています。

写真集の例言では、原典書名の付記がない民話は『北安曇郡郷土誌稿』(昭和5~12年、信濃教育会北安曇部会発行)に拠るとされています。

民話や伝説には、土地や語り手によって異なる伝え方があります。

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