大町民話の里づくり もんぺの会

常盤の民話

泉小太郎

母の犀竜とともに湖の水を流し、人の暮らす平地をひらいた泉小太郎。松本平・安曇野・大町に伝わる物語を、紙粘土人形の写真とともに紹介します。

物語の土地:松本平、大町市常盤

泉小太郎の紙粘土人形
泉小太郎の紙粘土人形。松本武子・峯村徳子・仁科光子・新芝久子作。写真撮影:丸山隆士。

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大昔、松本平は大きな湖でした。ここに棲む犀竜と東山中・高梨の池の白竜王との間に生まれた男子が、日光泉小太郎です。鉢伏山で誕生し松本の放光寺山にて成長しました。湖に身を隠していた母を尋ねて、熊倉下田(安曇野市)奥の尾入沢で母竜に対面します。

犀竜は告げました。「私は諏訪大明神の変身です。お前は私に乗りなさい。この湖を突き破って水を海に落として陸地に変え、豊かに暮らせる人里にするのです」

小太郎を乗せた犀竜は、山清路の大岩や水内の岩山を体当たりして突き破って千曲川へ通じる水路を開き、湖の水を越後の大海へ放流しました。あとには広々とした松本平の平地が生まれました。そして、この新しく出来た水路を犀川と呼びます。

その後、犀竜は白竜王と埴科郡坂城の横吹の岩穴に入り、小太郎は安曇郡の川会(池田町)に住んで子孫繁栄します。この地の川会神社には泉小太郎が祀られています。のちに父母の竜が訪ねて来て対面し、犀竜と白竜王とは仏崎(大町市常盤)の岩穴に隠れます。さらにのち、小太郎も「我はこの里を永く守るべし」と告げて、仏崎の岩穴に隠れました。

(『信府統記』)

このお話の出典

『民話が息づく紙粘土人形の世界』(大町民話の里づくり もんぺの会、2022年3月31日発行)より。民話解説:相澤亮平。公開中の写真集に掲載された解説を、そのまま紹介しています。

写真集の例言では、原典書名の付記がない民話は『北安曇郡郷土誌稿』(昭和5~12年、信濃教育会北安曇部会発行)に拠るとされています。本話には『信府統記』と付記されています。

民話や伝説には、土地や語り手によって異なる伝え方があります。

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